第3期登録アーティスト 宮國香菜(ピアノ)インタビュー<前半>(2026.3.8 Join us(ジョイ・ナス)!~キョウト・ミュージック・アウトリーチ~「最終年度リサイタル」)

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京都コンサートホール

2024年度より、第3期登録アーティストとして活動するピアニストの宮國香菜さん。

活動1年目は京都市内の小学校へ、2年目は小学校だけでなく、児童館や福祉施設等に生演奏を届けてきました。活動の締めくくりとして開催するリサイタルを前に、インタビューを行いました。

前半では、2年間のアウトリーチ活動について、語っていただきましたので、ぜひ最後までご覧ください!

―――今年度のアウトリーチも残り2回となりました。これまでの活動を振り返っていかがでしょうか。

この2年間、率直に言って楽しかったです!

“たくさんの方に音楽を届けたい”という強い思いが、学生の頃からずっとあったので、2年間継続してアウトリーチ活動をする機会をいただけたことは本当に幸せでした。演奏会とは違い、聴いてくださる皆さんといろいろなお話を交えながら、近い距離で交流できたことが嬉しかったです。

―――1年目は主に京都市内の小学校を主に訪問し、今年2年目は総合支援学校や子ども園、老人ホームなどにも出向き、さらにアウトリーチの幅が広がりましたが、どのように感じましたか?

特に支援学校や福祉施設でのアウトリーチは、これまでとは内容を大きく変えました。初めてのことも多く、不安もあったのですが、とても良い経験をさせていただいたなと思っています。支援学校の生徒さんたちは、音を心から感じて、その感情をぱっと出すことができる方々ばかりで、私自身が学ばせていただくことも非常に多かったです。
音楽の持っている“喜び”など、無限の可能性をさらに引き出せるように、こちらからもっと聴き手にアプローチした方がいいなと気づくことができました。

―――具体的にどのようにアプローチしましたか?

まずは私自身が“楽しい”と感じていることを、しっかりと伝えるということですね。私は、子どもの頃から音楽が大好きで、とにかく“楽しい”という感情が根底にあったので、その原点をもう一度あらためて思い出すということが大切だなと思いました。

―――何よりも演奏者本人がまず楽しんでいることは、とても大切なことですよね。

支援学校の先生方から、普段あまり“音”に感心を持っていない生徒さんや、ずっとその場にいるのが難しい生徒さんもいらっしゃるとお伺いしていました。しかしアウトリーチの最後には、全員で揃って音楽を楽しむことができ、そのことに先生方も感動してくださっていたので、やはり音楽は心を通い合わせる力があることを、私自身も再確認することができました。

 

―――この2年間の活動で、23回ものアウトリーチ公演がありましたね。プログラムの組み立て方は、1年目と2年目で変化はありましたか?

まず1年目の活動の中で、自分のやりたいことが固まったので、2年目はそれをさらにバージョンアップさせました。聴いてくださる方との距離感をより縮めるために、伝え方や選曲について試行錯誤しました。

―――聴き手との距離を縮めたり、もっとわかりやすく意図を伝えるために、どんな工夫をしましたか?

1年目はアウトリーチ活動が初めてということもあって、型にはめ込んで考えてしまっていたのですが、2年目は現場に合わせた柔軟な対応を心がけました。近くで聴いてくださる生徒さんのちょっとした一言を拾って、そこから話を広げていくことで、より聴き手の方との距離を縮めることができました。

―――2年間のアウトリーチ活動を通して、宮國さんがピアニストとして得たものはありますか?

ピアノは、一人で黙々と向き合い積み重ねていくことの多い楽器だと思っていました。しかしこの活動を通して、 音楽を届けるということは、決して一人だけでできることではなく、聴いてくださる方、学校や施設の方々、 コンサートホールのスタッフの皆さんなど、 本当に多くの方がいらっしゃるからこそできることだと強く感じました。
またピアノを演奏する中で、聴き手への伝え方を考えることが大切だとあらためて実感しました。お客様の心に響く演奏をするために、本当にこれで良いのかと自分自身に問いかけ続けないといけないなと、ハっとさせられるような瞬間が多々ありました。

―――ちなみにこの活動を経て、宮國さんご自身に変化はありましたか?

はい。元々どちらかというとポジティブなタイプではないのですが、アウトリーチ活動でさまざまな方と交流させていただくなかで、前向きに捉えようという気持ちが強くなりました。どのように言ったら良いのでしょうか、めげずにもっともっと積極的になろうというような。
ありがたいことに、アウトリーチの公演をおおよそ1ヶ月に1回実施する環境で、常に次の回のことを考えながら毎日を過ごしていました。いつも頭の片隅に、プログラムや演奏のことを考えながら過ごすなかで、アウトリーチ後にもちろん反省する部分もあったのですが、その中で「自分の良いところを伸ばしていこう」という気持ちが芽生えていったのかなと思います。

―――登録アーティスト卒業後、どのような音楽活動をしていきたいですか?

演奏活動をずっと続けたいという強い気持ちがあります。自身が生まれ育った京都で、たくさんの方に恩返しできる音楽家になり、これからも目の前にあることを大切に、そして周りの方々へ感謝しながら活動していきたいと思っています。

また、コンサートホールでのアウトリーチ活動のように、子どもやホールにお越しいただくことが難しい方々に音楽を届ける活動も継続していきたいと思っています。

―――ピアニストとしては、どんな演奏家になりたいですか?

心に響く音楽を皆さんに届けたいです。
私自身も子どもの頃に、音楽を聴いてワクワクしたり感動した記憶が鮮明に残っているので、子どもたちにそのようなきっかけを与えられるような演奏家になりたいです。

―――演奏活動以外にも、市内の高校の音楽教員や、楽器店でのピアノ講師の仕事もされていますが、このアウトリーチ活動がほかの仕事にも役立ったことはありましたか?

高校の音楽教員としては、生徒との対話をもっと大切にしないといけないということをあらためて実感しました。先生と生徒って少し壁があるように感じていたのですが、もっともっとみんなのことを知りたいという気持ちが強くなり、授業以外でも関わることが増え、生徒との交流が深まった気がします。

―――アウトリーチ活動のなかで、人との対話をたくさん重ねましたよね。
ピアノの先生としては、子どもの生徒さんが多くいらっしゃると思いますが、いかがでしょうか?

大学院を修了してすぐに音楽教員やピアノ講師の仕事を始めたのですが、はじめは自分の中でこうしないといけないという固定概念のようなものがありました。
しかしこのアウトリーチ活動を通して様々な方と交流したことで、生徒さんの個性をもっと引き出してあげられるようなレッスンをすることが大切だと気づかされました。生徒さんの年齢に関係なく、相手がどうしたいのかということを、たとえ言葉で表現できないような小さな子どもであっても、私が導いていってあげられるように引き出しをいっぱい作ろうと意識が変わりました。

―――アウトリーチ活動を通してのご自身の変化など、たくさんお聞かせくださりありがとうございました。

(2025年12月 京都コンサートホール事業企画課インタビュー)

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