2024年度から2年間、京都コンサートホール第3期登録アーティストとして活動してきた、ピアニストの宮國香菜さん。
インタビュー後半では登録アーティストとしての活動の集大成となる「最終年度リサイタル」について話を伺いました。
※インタビュー前半は「こちら」よりご覧いただけます。
―――3月8日に実施する「最終年度リサイタル」のプログラムについてお伺いします。どのようにプログラムを組んだのですか?
この2年間の締め括りとして、自分自身がこれまでに惹かれてきた作曲家の作品を演奏したいと思い、選曲しました。
―――プログラムの最後に演奏予定の、ショパンのピアノ・ソナタ第3番は、昨年から「弾きたい」とずっとおっしゃっていましたよね。
そうなんです。アウトリーチ公演のなかで、私がピアノを大好きになったきっかけのひとつとして、ショパン100選のCDを紹介していました。CDは小学生の頃に両親からプレゼントしてもらったものなのですが、傷だらけになるくらい何度も何度も聴いてきました。そのCDのなかには、今回のリサイタルのメインである、ショパンのソナタ第3番が入っており、小さい頃から「いつか弾きたい!」とずっと憧れてきました。全楽章演奏するのは今回が初めてですので、この機会に演奏できることが非常に嬉しいです。
―――とっても素敵なエピソードですね!ちなみに、ショパンのピアノ・ソナタは全3曲ありますが、なぜ第3番がとくに好きなのですか?
子どもの頃にショパンを初めて聴いたとき、曲の背景についてあまり知りませんでしたが、彼の音楽を聴くと、喜怒哀楽などの心情が、ものすごく強く伝わってきて惹きつけられたんです。特にソナタの第3番は、その描写が一段と鮮明で、すごく心に響くものがありました。ピアノという楽器の表現の幅の可能性を非常に感じられ、ピアノの良さを最大限に味わっていただける作品です。
―――「時を越えるピアノの詩情」という、今回のリサイタルのテーマについて教えてください。
シューベルト、シューマン、フォーレ、ドビュッシー。今回のプログラムで取り上げている作曲家全員、ピアノ作品の中に詩情を入れて作曲している作曲家だと思います。そういった作曲家の作品を並べて、そこに描かれている詩情を、ピアノで私なりに解釈したいと思い、このテーマで選曲しました。
ショパンを軸に、彼に何かしら関わりのある作曲家の作品を取り上げてプログラムを組んでいます。
―――ありがとうございます。ショパン以外の曲目についても教えてください。
フォーレの 《ノクターン第 6番》 は、 心に寄り添ってくれるような大好きな作品のひとつです。音の陰影がまるでステンドグラスに射し込む光のように感じられ、初めて聴いた時に“教会”の情景が思い浮かびました。
あと、フォーレの曲は和声が独特で、聴くとフォーレの曲だって絶対に分かるんですよ。この曲も彼特有の和声が用いられていて、なんとも言葉で表しがたいハーモニーが素敵です。
フォーレもシューベルトも、演奏会で演奏させていただくのは今回が初めてです。またシューマンの《森の情景》も全曲演奏するのは初めてなんです。
どの曲も本当に素晴らしい作品ですので、皆さんに楽しんでいただけるよう精一杯準備しています。
―――リサイタルを通して、お越しくださるお客さまに一番伝えたいことは何ですか?
やはり、偉大な作曲家たちがこんなに素晴らしい音楽を残してくれたということです。
ひとりのピアニストとして、それをたくさんの方にお届けすることができれば幸いです。
また、アウトリーチ活動で出会った子どもたちもお越しくださると聞いていますので、初めてコンサートホールに足を運んでくださる方々にも、私の演奏を通して音楽の魅力をお伝えして、クラシック音楽に興味を持っていただけるようなきっかけになれば何よりです。
―――(担当スタッフからのコメント)
スタッフ①(山田)まずは2年間、お疲れ様でした。本当に努力家で、ひとつひとつのことに丁寧に取り組みながら、たくさんの素敵なアウトリーチ公演を京都市内でお届けしてくださりありがとうございました。ご本人のお話のなかで、宮國さんご自身の変化として、前向きに物事を捉えることができるようになったとおっしゃっていましたが、それはそばで見ている私たちも感じていました。この2年間でピアニストとしてもそれ以外の面でも、本当にたくましくご成長される姿を間近で見守らせていただけて、私たちも嬉しかったです!
スタッフ②(高野)この2年間を通して、初めは見えていなかった宮國さんのお茶目な部分が徐々に見え出して、真面目なだけでなく実は面白い人なのかなって感じました。ですので、この2年間のアウトリーチ活動の中で、宮國さんの持っていらっしゃる魅力的な部分を皆さんにお伝えすることができたことがとても良かったなと思います。子どもたちとの距離も公演を重ねるごとにどんどん縮まっていったことも見ていて嬉しかったです。
―――最終年度リサイタルでは、2年間の集大成が凝縮された、充実したプログラムをとても楽しみにしております!
(2025年12月 京都コンサートホール事業企画課インタビュー)
♪3月8日(日)開催「最終年度リサイタル Vol.2 宮國香菜 ピアノ・リサイタル」の詳細はこちら!






心に響く音楽を皆さんに届けたいです。







たちによる夢の競演「ブラス・スターズ in KYOTO」(11月30日)。
初めて作曲をしたのは、たしかピアノを初めてすぐの頃でした。ピアノ曲で、「子犬の行進」や「星のうた」といったタイトルをつけて作曲していました。幼い頃から「楽譜を書く」ことが何より好きだったみたいです。
実は「たなばた」の作曲は高校時代にしました。私の曲には転調が繰り返し現れるので、当時高校の同級生には難しいと感じられて、よく煙たがられていましたね(笑)。だから、「たなばた」も当時演奏されることはあまりありませんでした・・・。「たなばた」が日の目を見ることになったのは大阪音楽大学2年生の時です。当時大学で吹奏楽を指導していらっしゃった先生たちの前で「たなばた」をピアノで初披露したところ気に入ってくださり、そのまま吹奏楽編成で演奏していただきました。
ラヴェルの「道化師の朝の歌」についてはとても難しい楽曲ですが、ピアノと打楽器が入ることによって色々な工夫ができるので、それがとても楽しいです。「800秒間世界一周」についてはお気づきの方もいらっしゃると思いますが、1956年にアメリカで公開された映画「80日間世界一周」にかけています。この曲では、まず日本を出発し、色んな世界の音楽を聴いてもらいながら、お客さんに世界旅行の気分を味わってもらいたいなと思っています。それぞれの楽器にフィーチャーして、色んな表現をお客様にお聴きいただけたらいいなと思っています。
京都には、高校1年生から30歳までいました。
格さんとの出会いは大学生の時です。「あ、“たなばた”の人や!」って興奮したことを覚えています。それ以降、格さんの曲はたくさん演奏しています!でも実は「たなばた」は未だに演奏したことがないんですよね(笑)。
2025年、ラヴェルは生誕150周年、グレグソンは生誕80周年、そして我らが格さんは生誕55周年です(笑)。そして京都コンサートホールは30周年!そんなスペシャルアニバーサリーコンサートを開催しますので、沢山のお客さんに足を運んでいただけるようがんばります。京響ファンのみなさん!いつもとは違うメンバーの姿が見られますよ!ぜひ、お越しください。
京都コンサートホールが誇る国内最大級のパイプオルガンをお楽しみいただける人気シリーズ「オムロン パイプオルガン コンサートシリーズ」。11月1日に開催するVol.76にご出演いただく松居直美さんのインタビュー後編をお届けします。
J.S.バッハも初期から後期と作風は変化していて、若い時の作品は確かに若さを感じはしますが、作曲技法的に巧いなと思います。あまりに巧みであるし、あれだけのオルガン作品があっても曲の終わり方が全く同じ曲はないのです。たくさんの引き出しを持った人といいますか、バッハに至るまでの数々の音楽が吸収されていて、それがバッハの中で統合されて曲となって出てきていると思うのですが、1曲ずつの曲のキャラクターの違いの面白さもありますし、バッハ以上にどの作品を弾いても興味が持て、その興味が尽きることがない作曲家はいないように感じます。しばらく時間をおいて改めて演奏してみるとまた違った発見がいつもある作曲家は、バッハの他にはあまりいないような気がします。ですので、バッハの作品を理解したと思っているわけではありませんし、近づくほどに峰が高く見えるような、そんな存在です。
オルガニストになるというビジョンは全くなかったですね。実は一度、オルガンを辞めようと思ったことがありました。大学院を卒業してから1年くらいの時期です。オルガン科を卒業しても “何かになれる” というモデルがあったわけではありませんし、可能性も考えられませんでした。私が学生の頃はオルガンのあるコンサートホールはなかったので、ホールオルガニストという職もありませんでした。しかし、その頃たまたま誘われて行った国際基督教大学でのコンサートを聴いて、 “もう一度オルガンを演奏したい” と思ったのです。そのコンサートで演奏していたのは、東ドイツのトーマス教会のオルガニストだったハンネス・ケストナーでした。
20世紀を代表するフランスの偉大な音楽家 ピエール・ブーレーズの真髄に迫る、京都コンサートホールのオリジナル企画「ブーレーズへのオマージュ」。コンサートの翌日11月9日(日)には、ブーレーズの作品や思想への理解をさらに深めていただくため、京都市立芸術大学 堀場信吉記念ホールにてスペシャルイベント「ピアニスト永野英樹による公開マスタークラス」を開催します。
ブーレーズに初めて会ったのはIRCAMでした。確か2009年です。私は2007年から2009年まで研究員として2年間、IRCAMに滞在していました。当時、修了作品を制作するため施設によく寝泊まりしていたのです。確か夜の22時頃だったと思うのですが、カフェで休憩しようと飲み物を取りにエレベーターを降りたら、ブーレーズが目の前にいたのです。僕は『え?』となりましたし、ブーレーズも『え?』となっていましたね(笑)。不思議な出会い方でした。その後、私の修了作品がポンピドゥー・センターでアンサンブル・アンテルコンタンポランの演奏により初演されることになったのですが、その時にもブーレーズは聴きに来ていました。作品を聴いていただいた後に直接お話ししたのですが、ものすごく緊張していて何をしゃべったかは覚えていません。でも『よかったよ』とは言ってもらえましたね。当時、ブーレーズはかなり高齢でしたので、一緒に活動をすることはなかったのですが、ブーレーズの存在感、そしてオーラのようなものを強く感じました。
パリに住んでいるときにブーレーズが指揮する姿を見たことがあります。作曲家としてのブーレーズと直接的な繋がりがあるかはわかりませんが、ブーレーズのリハーサルは極めて合理的なのですよね。楽譜を通してブーレーズの人柄を知ることは難しいと思うのですが、指揮者としてのブーレーズはきわめて厳格な音楽づくりをしていました。ただそれと同時に、ユーモアを忘れないという一面もあって、そういった場面に出会ったときに、『ああ、やっぱりブーレーズも人間なんだな』って思いました。僕が楽譜を通して知るブーレーズ以上に、指揮者ブーレーズは人間的だなと思います。楽譜からも論理だけでは片づけられない作曲家の顔みたいなものは見えるのですが、実際に指揮をしている姿を見ると結構インパクトがありました。
実は、この作品を演奏するのは今回が初めてです。作品のことはもちろん知っていましたし、重要なレパートリーであるということも分かっていましたが、これまで演奏する機会がありませんでした。《ドメーヌ》は、一時期親交のあったジョン・ケージの ”偶然性” の考え方から発展した “管理された偶然性” の作品です。 “管理された偶然性” というのは、ケージのように全てをコインやサイコロといった不確定なものに委ねるのではなく、全てが作曲家の意図のもとに統制されたうえで、奏者自身が演奏するフレーズの順番や奏法を選択しながら演奏するものです。
原曲が大編成の作品で、それをウェーベルンが五重奏に編曲しました。五重奏版では、原曲にある全ての音が入っているわけではありませんが、元の編成を踏襲した形でとてもよくできています。ピアノがたくさんのパートを担っているので音数も多く、どうしても響きが重厚で分厚くなってしますが、それに対し他の4つの楽器(フルート、クラリネット、ヴァイオリン、チェロ)がどうバランスをとっていくかが難しさの一つでもあります。また、指揮者がいれば問題なく合わせられるところも、5人の場合はアンサンブル力が試されます。大変ですがやりがいのある作品です。